Noと言えない男
我が事業部に入ってまだ4ヶ月のフレッシュ新人を
紹介したい。
それは「Noと言えない」K君である。
営業部に所属している。
彼の特徴はとにかく何でもNoと言わないところである。
「K君、これお願いします」
「あい、わかりました」
「K君、これできるよね」
「あい、大丈夫です」
「K君、これ知ってるよね」
「あい、知っています」
断らないという事はすごい事だと私は思うし、頼む方としても
これほど気持ちのいいものはない。
しかも彼は業務の内容を1秒も吟味せずに
「あい、やります!」
とこころよい返答を発射(連射)する。
最近、彼のその断らない性格に付け込んで、何でも頼む輩が
増えてきた。
そのせいで最近K君の業務量が、完全に自分の限界を超えてしまっている。
安請けあいしたものの、実は難解な業務であることが多い。
頼む側は皆、その道のベテランである。
頼むときは
「これはすぐ出来る業務だから」
とか言って実は非常に難解な(面倒くさい)業務である
ということを絶対に悟られまいと、悪魔の心が表情に反映されまいと、
その時点でつくれる最大限の笑顔をつくり、猫なで声で
(普段より確実に高い声で)
「お願い~~」
と上目遣いで擦り寄る。
K君はその時点で、数時間後に出口の見えない状態に陥るとは
全く想像もつかず
「あい、大丈夫です」
といつものように受注する。
しかしである
私は最近彼のある変化に気付いた。
彼も皆に振られた業務を数多くこなすうちに
自分なりにではあるが、「これは難解」、「これはイージー」などと
選別が出来るようになってきたのだろう。
基本断らないスタンスは変わりがないが
返答の際に2点ほど変化が現れている。
■1点目
要望を受けてから返答を出すまで若干の'間'が出来た。
この'間'の間に
「あ~面倒くさそう」とか「これなら楽勝」などと
思考をめぐらしているのだろう。
その'間'の後はいつもの
「あい、やります!」
である。断らない。
1点目については皆も気付いているハズだ。
次が私の発見である
■2点目
要望を受けた業務が難解そうな時に
な、な、なんと!
ほんの一瞬、コンマ0.00何秒か目をそらすのである。
しかも上向き約45度の方向に!!
本人もおそらく気付いていないだろう。
これは意識とは別に体が完全に拒否反応をおこしている
症状でないかと思う。
しかし目をそらせた後の返答はいつもの通り
「あい、わかりました!」
である。
入社して4ヶ月、彼の成長は著しい。
吸収するスピードも速い。
断らないという事は素晴らしいことだと思う。
今は何でも全てが勉強のわけだから、
断る事=自分から入口を閉ざすことになるので
断らないほうが自分にとっても有益であるのは間違いない。
いつか業務を発注した際に
「これは時間がないからムリです!」
「これは○○にお願いしてください!」
と断られる日も訪れるであろう。
その時はこちらの悪魔の笑顔も通用しないであろう。
でも私のお願いにはNoと言わないで欲しい・・・。
目をコンマ0.00数秒そらせてもいいから・・・。
期待してるよ「Noと言えない男」

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